臨床の話

臨床で経験した骨折症例を紹介②第5中手骨頚部骨折

Pocket

こんにちは! ささです

 

今回は定型的な転位、受傷機転の第5中手骨頚部骨折の方の症例をお話しする。

 

 

 

①問診

年齢性別:50代男性

主訴:右手を握ると手背が痛く曲げにくい。手背に腫れと内出血がある

受傷機転:3日前、右手で壁を強く殴り受傷

現病歴: 特になし

既往歴: 特になし

 

②視診

手背から手指(特に環指、小指)腫脹あり

手指屈曲時少し小指が環指と重なっている(オーバーラッピング指あり)

顔色など異常なし

 

③触診

圧痛:第5中手骨頚部に限局的圧痛あり

叩打痛:あるが弱い

疼痛部に背側凸変形を認める

 

 

④診断名

右第5中手骨頚部骨折

 

 

転位があるため、整復をした。

 

⑤整復方法について

今回の転位は、第5中手骨頚部骨折の定型的な転位であった。

 

整復法は教科書通りのやり方で行った。

MP屈曲位での中手骨長軸方向への牽引(短縮転位と回旋転位の除去)

 

基節骨を介しての骨頭の押し上げと

骨折部近位部の押し下げ(屈曲転位の除去)

 

牽引はもちろん大事だが、第5中手骨はCM関節の可動性も大きいので

骨頭の押し上げのときにちゃんと近位端部を下方に押し込むイメージで把持しないと

屈曲転位が取れにくい印象がある。

 

⑥初回時の固定

整復位保持のため最初はしっかりアルフェンスで固定した。

前腕遠位~指尖まで

手関節軽度背屈位でMP関節60度~90度屈曲位、PIP、DIPは伸転位で固定した。

手背部には厚紙をあてて、

骨折部は背側凸にならないように綿花を厚めにあてて圧迫しておいた。

 

中にはボクサー骨折の整復後でも

固定はホワイトテープによるエクステンションブロックでMP関節を90度屈曲位で保持させるだけという先生もいるらしい。

MP関節を90度屈曲させておけば、再転位が起きないとも言っていた。

 

しかし、さすがに最初からホワイトテープのみは不安だったしリスクがあったので

今回はアルフェンスで行った。

 

 

⑦固定変更のタイミング1

今回の患者さんは、多少の骨頭の屈曲転位が残ったとしても手を早く使いたい

ラッピングが出てなければ良いという事だったので

早い時期から、ナックルキャストに変更することにした。

 

1週のレントゲンで問題なく、ラッピングも確認されなかったので

ここでナックルキャストに変更した。

ナックルキャストは、手関節フリーのMP関節90度のキャスト固定で

手指掌側をカットしてあるので、固定しながら手指の屈曲が可能になる固定である。

 

この固定の利点は早期から運動が行えるため、拘縮がおこりにくく骨癒合も促進される。

1週から3週の間この固定を行い

自宅での自動運動などを行ってもらった。

 

腫脹が引いてくると、キャストがゆるくなりやすく固定の意味を成さないので

ゆるんでたら再固定をすすめる。

 

 

⑧固定変更のタイミング2

3週間たってだいぶ圧痛も減ってきていたため

ホワイトテープでのエクステンションブロックに変えた。

 

この方はわりかし痛みが引くのが早く、叩打痛はこの時点ではなかった。

 

この固定に変えることによるメリットは

引き続き骨折部の安定と、手指の運動可に加えて

 

前周囲の固定ではなくなるので蒸れたり、においなどなどにも対応できる

さらに定期的に清拭などすることが出来る。

 

あと意外とナックルキャストが目立つので

テーピングだけになると喜ばれる。

 

これを3週から5週まで行い

最後はキネシオテープで小指と環指をバディテープし

自宅ではりかえしてもらっていた。

 

⑨リハビリについて

今回はあえて早期から運動を行えるように固定を変えたので

結果的に固定除去時に関節の運動制限はでなかった。

 

ナックルキャストになってからは、手指自動運動

ホワイトテープになってからは第4,5指以外のMP関節の伸展の練習も他動的に行った。

 

固定除去後ももともと運動制限がなかったので

そんな対したリハビリはしていないが

 

リハビリが必要ない固定を作れるのが良いと感じた。

 

 

⑩まとめ

今回第5中手骨頚部骨折の整復、固定、リハについて話したが

この骨折は特に固定が重要と思う。

 

固定の仕方でリハビリにそんな時間がかからずに済む場合もあるが

これを4週間くらいずっとアルフェンスでやってたら

ものすごい拘縮が残ると思う。

 

指の拘縮はなかなか取れないイメージがあるので、リハビリも大変だろう。

 

この方の場合は5週までMP関節90度固定で

6週からはバディテープのみ

だいたい8週くらいまでリハビリして終了となった。

 

早期の運動療法のおかげだと思う。

最近は骨折も早期から動かす治療法がでてきているので

チェックしておく必要があると思う。

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です